中古車買取LPの作り方① | 全体戦略とターゲット設定の考え方
中古車買取サービスは、競合が非常に多く、条件も内容も似たようなサービスがひしめく領域です。
検索をかければ一括査定サイトや専門買取業者が大量にヒットし、どこも「高価買取」「即日現金化」「無料査定」といった文言を並べています。
こうした状況の中で、LP(ランディングページ)で成果を上げていくためには、単なるデザインやキャッチコピーに頼るのではなく、誰に・何を・どう伝えるかを明確にする戦略設計が不可欠です。
このコラムでは、中古車買取LPの設計における初期段階、ターゲットの明確化と差別化戦略の方向性の考え方について解説します。
なぜ戦略が必要なのか
多くの企業がLP制作にあたって最初に悩むのは、何をどこまで書くべきかという構成の問題です。
しかしそれ以前に「誰に向けて発信するか」が定まっていなければ、伝えるべき情報もぼやけてしまいます。
中古車買取のように、サービスそのものに大きな違いが出しにくい市場では、特にこの設計が重要です。
価格やスピード、対応範囲などの物理的な条件での差別化は限界があり、ほとんどのユーザーはどこも同じに見えてしまうからです。
だからこそ、LP制作に入る前の戦略設計──特にターゲット設定と価値の方向性こそが、成果を分けるカギになります。
差別化をターゲット設定から始める
ターゲットを明確にすると、それにあわせてコピーや構成、写真、導線の設計も変わります。
中古車買取におけるターゲットは非常に多様です。
以下のような方向性をもとに、誰に向けたLPにするかを決めると、その後の設計がぶれなくなります。
差別化の方向性と対応するターゲットの一例
| 差別化の方向性 | 想定ターゲット層 |
|---|---|
| 価格訴求型 | 一括査定で比較し、もっとも高く売れるところを探す人 |
| スピード対応型 | 即日現金化や当日引き取りを希望する人 |
| 車両状態特化型 | 故障車・事故車・車検切れなどを処分したい人 |
| 地域密着・信頼訴求型 | 査定や手続きに不安があり、丁寧な対応を求める人 |
| 感情価値訴求型 | 愛着のある車を納得できる形で手放したい人 |
このように、
- 価格
- スピード
- 安心
- 感情
といった訴求軸ごとに、想定されるターゲット像は大きく異なります。
まずは自社のポジションとリソースを踏まえたうえで、どの方向性でいくのかを選ぶ必要があります。
差別化戦略(例):「信頼と納得で選ばれるLP」
ここではあくまでひとつの提案として、価格勝負を避ける戦略をご紹介します。
競合他社の多くが高価買取を掲げ、価格比較に巻き込まれている中で、あえて価格ではなく安心感や納得感を重視するターゲットに絞る戦略です。
この戦略では、以下のような人をターゲットとします。
- 初めて買取サービスを使うため、仕組みがよく分からず不安
- 一括査定を使った結果、営業電話が多くてうんざりしている
- 査定後に金額を減額された経験があり、不信感を抱いている
- ディーラーに値段がつかないと言われた車をどう処分するか悩んでいる
- 思い出が詰まった車だから、丁寧に扱ってほしい
こうしたユーザーにとって、高額査定だけが一番の関心ごとというわけではありません。
査定から契約、引き取り、廃車手続きまで一貫してスムーズで、信頼できるかどうかも同じぐらい重要です。
顧客心理に寄り添う設計が信頼につながる
中古車買取を検討するユーザーの多くが、以下のような苦痛や不満を感じています。
- ネット査定と実査定の価格差が大きく、納得感がない
- 相見積もりをとるのが面倒
- 担当者の対応が事務的で、信頼できない
- 車に対する思い入れを無視された
- 査定後のキャンセルに手数料がかかるなど、柔軟性がない
- 入金の遅れ、名義変更の遅延などが発生する
これらの課題は、競合のサービス設計の甘さや過度な営業体質によって生じています。
だからこそ、それらを逆手にとって
- しつこい営業なし
- 減額なし
- 買取後の手続きも確実
- 車に対する配慮あり
といった、ユーザーの不安を解消するLP設計が有効になります。
LPの設計は「誰に・何を・どうやって」で考える
戦略設計を具体的に落とし込む際には、以下の3点を明確にしておくと、構成やコピーに一貫性が出ます。
誰に(Who)
・初めて車を売る人
・故障車や不要車をどうすればいいか悩んでいる人
・買取業者に不信感がある人
何を(What)
・価格よりも安心して任せられる対応
・引き取りや名義変更まで含めたワンストップのサポート
・車を「モノ」ではなく「思い出ごと扱う」丁寧な対応
どうやって(How)
・スタッフの顔や整備風景を見せる構成
・買取後の再販ルートを開示(直してまた走るという安心感)
・お客様の声やストーリー紹介で信頼性を強調
このように整理したうえで、LP全体を設計することで、ターゲットの心に届く価値ある提案が可能になります。
成果を生むLPは、設計で8割が決まる
LP制作は、ただ見栄えの良いデザインをつくる作業ではありません。
とくに競争が激しい中古車買取の領域では、他と違う視点をどこで持てるかが重要です。
そしてその視点は、「誰に向けて、どんな価値を、どう届けるか」という設計にすべて詰まっています。
価格や条件で比較されない独自のポジションを確立するには、まずこの設計から始めることをおすすめします。
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次は競合との違いを伝える訴求ポイント設計術というテーマでお話しします。
連載『中古車買取LPの作り方』の目次
- 第1回:全体戦略とターゲット設定の考え方
- 第2回:競合との違いを伝える訴求ポイント設計術
- 第3回:顧客心理をつかむための情報設計と構成の工夫
- 第4回:「安心して任せられる」と思わせるデザインと導線
- 第5回:成果につながるLPの運用と改善のポイント
